母親にカミングアウトした時
昨日の予告(?)通り、親に(自分がGIDの可能性が高い事を)カミングアウトした時の事を書こうと思います。
きっと同じような状況の人もいたのではないでしょうか。
その時、丁度母親と二人で外を歩いていました。他に話す内容がなかったので
「私さ、性同一性障害かもしれない」
と、ストレートに打ち明けました。でも、心臓はすごくドキドキしていました。
反応については考えられなかったけど、今まで黙っていた自分の違和感をこの時初めてリアルの親に打ち明けたからです。
すると母は普通に答えて言いました。
「え、そんなのただの現実逃避でしょ?」
その瞬間、僕の中の熱い勇気のドキドキが一気にサーッっと冷めていくようでした。
自分がずっと悩んで、葛藤して、それでもずっと引っかかっていたもやもやを『現実逃避』の一言でシャットアウトされたのです。
今でこそ母はそのときのことを「ごめんね」って言ってくれますが、その時の事は本当にショックでした。
それから、僕はネット内だけで、教えてくれた友人と、一部の気の置けない友人のみと「それ」について話す事にしました。
それ以上親に言うのが怖かったのです。言ってもまた否定されるんじゃ?信じてくれないんだろうな、と。
でもそのままじゃ、今までどおり「女扱い」してくる。それがすごく辛かったです。
言っても信じてくれないし、言わなくても自分が辛い。
母親がダメならと、父親にも言いました。直接はもう無理だと思ったのでテレビを見ていたときです。ドラマでGIDが取り上げられたシーンで「私もこれかもしれないーw」と、自分が傷つかないようにはぐらかしながら言った覚えがあります。
すると父は、
「ふーん、じゃあミカンチノミーは男になりたいの?・・・ふーん」
それだけでした。でも否定されなかっただけ、楽でした。
それからしばらく自分の中の悩みが膨大化したある日、図書館で性同一性障害だったある男性(元女性)の手記を見つけました。自分で言っても、自分が辛くなるなら、本を読んでそういう状況の人がいるってことを知ってもらおう、と思ったのです。
「自分が」って言わないのなら、母親も理解しやすいだろう、と思いました。
それでその本を借り、母親に「これちょっと読んでみてよ」と渡しました。
数日経っても、その本を母親が読んでいるところを見なかったので「ちゃんと読んでくれてるの?」と聞くと「うん、読んでるよ」と栞を挟んだページを見せてくれました。
それならまあ、返す時にもう一回感想聞いてみようと思いました。
そんなある日、居間で昼寝をしていると母が父に「この本、ミカンチノミーが読んでみてって」と話しているのが聞こえました。そこからは寝たフリをして、話を聞いていました。起きたら母親は話すのを止めるだろうと思いました。
聞いていると、母はすごく悩んでいる様子。でも傷つけられた事のほうが辛かったので、心の中では(もっと悩めばいいのに)と思っていました。
その本が読み終わって、少しは親も「理解」してくれたと思います。少しずつですがそういう類の本を借りてきて読むようになっていました。
今でもまだ分かってくれない事も多いですし、母親は未だに認められていない部分の方が多いようです。
僕が他の人に「男の子」として見られているのを見るとすごく悲しそうな顔をします。
だから家族の中で母だけがまだ理解しようとしてくれていないと感じてしまいます。「どうして?」と聞いても「だって昔から知ってるから」と言われます。僕はその「昔」から演じて、偽ってきた気分でいます。
女の子のように振舞ってきた事が(振舞えていたかは別で)、GIDだと認識して「演じていた自分」にしか思えなくなりました。だから、認識した時にどっと疲れが出たんだと思います。教えてもらいスーッとしたと同時に、もうあんな恥ずかしい事は出来ないと思いました。自分は女の子であることがすごく恥ずかしかったのです。
今でも理解はされていませんが、言った時よりはマシになってきていると思います。
こういう事が嫌だとか、そういうのを言うのはやっぱり勇気いりますけど。